復活の主日(日中)(ヨハネ20:1-9)

あらためてご復活おめでとうございます。わたしたちは昨晩の復活徹夜祭で光の祭儀を行い、復活した主が、わたしたちの心の闇を照らし、導いてくださる方となっておられるのを体験しました。
ローソクの光は、使い方によって2つの照らし方をすると思います。光の祭儀では、復活賛歌を歌うために、侍者たちにローソクで手元を照らしてもらいました。1つの働きは、手元を照らすということです。
また、洗礼の約束の更新では、全員復活のローソクから火をともし、信仰を宣言しました。これは自分たちの信仰を互いに確かめ合い、また世に向かって信仰を宣言するための働きでした。ローソクの光のもう1つの働きは、世を照らすということです。
復活の主日の日中の典礼で朗読される福音は、ヨハネ福音書が決まって朗読されます。与えられた朗読の中で、「見る」という言葉がいくつかの違った働きをしています。それはたとえて言えば、ローソクが手元を照らす働きと、世を照らす働きに使われるようなものです。
マグダラのマリアは墓に行き、「墓から石が取りのけてあるのを見た」(20・1)とあります。彼女の目は、いわば手元を見ただけでした。そのため戻って弟子たちに報告する時も、「主が墓から取り去られました。どこに置かれているのか、わたしたちには分かりません」(20・2)という報告にとどまったのです。
ペトロともう一人の弟子は、外に出て墓へ行きます。先に墓に着いたもう一人の弟子がペトロに続いて墓に入って来たとき、マグダラのマリアとは違う結果になりました。「見て、信じた」(20・8)のです。もう一人の弟子の目は、手元を見ただけではなく、自分たちが見ている出来事の本当の意味まで深く見通したのです。
そこには、ただ手元を見るだけの見方とは違った見方があることが分かります。たとえば旅行に出かけるとき、船に乗っている知らない幼子が泣いているとして、泣き止んでほしいなぁと思って見るのと、微笑ましいなぁと愛情をもって見るのが違っているようなものです。
エスが愛しておられたもう一人の弟子は、自分が深く愛されていたことを思い起こしながら、空の墓を見つめたのです。そのことで、イエスは復活して、わたしたちの救いを成し遂げられた、わたしたちにまた愛を注いでくださる方となられたことを見通したのです。
エスが愛しておられたもう一人の弟子に倣いましょう。日々の出来事の意味を考えるとき、愛情を持って出来事を見ると、すべてが神からの贈り物として受け止めることができるようになります。復活した主は今わたしたちの手元だけでなく、全世界を照らし、愛によって治め、導いてくださるのです。

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ちょっとひとやすみ
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▼ここ数カ月で、かつての大神学院でお世話になった教授たちが次々に亡くなった。カナダ人で、8年間霊的指導司祭だった司祭、そして教義神学を4年間教えていただき、院長としても導いていただいた日本人の司祭だ。亡くなった連絡が入り、どちらも出席すべき恩人だったが、とうとう恩を返せなかった。せめてもの償いに、心を合わせてミサをささげた。
▼それぞれ、タイプが全く違う司祭だった。指導司祭だったカナダ人司祭はわたしの印象では物事を合理的に考えるタイプ。結果オーライという点ではわたしの性格にぴったりだった。日本人の教義神学教授で院長としてかかわった司祭は、言い方は適当ではないかもしれないが、「テキトー」な司祭だった。また「歩く思想事典」という異名を取り、授業はまるで聖書思想事典のコビペのようだった。
▼この両司祭は確実に亡くなった。特に反面教師のような生活だった一方の司祭は、待たされそうである。すぐに天国で合流とはいかないだろうが、いずれそうなるのだろう。だが本当に、2人とも天国にいるのだろうか。疑っているわけではない。ただまったく性格の違う2人が、至福の状態でいられる天国とはどういう場所なのだろうか、と想像してしまうのである。
▼神とわたしの間で至福を味わうというのは理解できる。ただ、大神学院時代に教授同士で激しくやり合った人たちが、仲良くいられるのだろうかという疑問をぬぐえないのである。彼らの少し前にも、もっと性格のきつい教授が旅立っている。それらのメンバーが一堂に会して、どのような天国になっているのだろうか。
▼「わたしの父の家には住む所がたくさんある。もしなければ、あなたがたのために場所を用意しに行くと言ったであろうか。」(ヨハネ14・2)住むところがたくさんあれば、揉めなくても済むのかもしれない。
▼実はわたしも司祭として相性の合う司祭も合わない司祭もいる。彼らと天国で同席して、火花を散らしたりしないか心配である。無論、火花を散らすような精神状態ではまだ天国には迎え入れられないだろうが。

===-===-===-=== † 神に感謝 † ===-===-===-===-======