聖金曜日(ヨハネ18:1-19:42)

今日私たちは、私たちを救うお方が十字架で命を捧げたことを思い起こしています。断食の務めを果たしたり、午後3時の十字架の道行きに参加したりして、心の準備をしてきました。特に午後3時の十字架の道行きに参加された方は見てお分かりと思いますが、肩に食い込むほどの十字架を抱えて行列しましたので、立派な心の準備になったと思います。

エスがお亡くなりになったことで、私たちの救いに必要な犠牲、お捧げはすべて成し遂げられました。人間の過ちは悔い改めや償いでゆるしてもらえる罪も多いのでしょうが、大きな過ちを犯した時、私たち人間がどんな償いを行っても、実際は償いきれるものではないと思います。

エスの両脇に磔にされた二人は、殺人と強盗のかどで死刑を宣告された人でした。人の命をあやめたことを、人間はもともと償いきれるはずがないのです。ですが、その人が神のあわれみを信じ、神にすがるなら、神はかわりにご自身の命を捧げてくださいます。この大きな身代わりがなければ、戦争の過ちも、交通死亡事故の過ちも、償えるはずがないわけです。

神の御子は、最も惨めな姿で息を引き取りました。ですがそれは、最も惨めな人間までも救いたいという思いが、十字架上での最後につながったのだと思います。手を汚さず、一滴の血も流さず人間を滅びから救うのではなく、三度地面に倒され、最後の一滴まで血を流してくださったのです。これは、イエスでしか為しえない業なのです。

中田神父は、今日の典礼の始めに、祭服のまま床にひれ伏しました。これは儀式書に記されている通りの振る舞いなのですが、こうして床にひれ伏しながら、イエスが三度お倒れになったこと、人が人前で地面に這わされることの意味をあらためて考えました。救い主が三度地面に倒されます。

私たちの社会で、貴い人を誰が地面に這わせたりするでしょうか。それほどひどい仕打ちにも、イエスは黙って従われたのです。すべては私たちの救いのために、倒されることが必要であれば従順にその苦しみを引き受けてくださるのです。

私は、この床にひれ伏す姿と、つい最近行われた司祭の叙階式の一コマが重なりました。司祭に叙階される人々は、儀式の途中祭壇の前で全身ひれ伏し、自分自身をすべて神に捧げますという決意を表します。私はその姿が、イエスが人間の救いのために三度倒れ伏したことと、この聖金曜日典礼の中で司祭がひれ伏すこと、その両方に重なったのです。

今から司祭になろうとするこの三名の方々は、こうして床に全身ひれ伏すことで、救いのために全身を投げ出す決意を表しているのだろう、神のためなら人前で地面に倒されることも恐れないという決意を表しているのだろうと、心を動かされました。十四年前には同じ姿で祭壇の前で全身ひれ伏したことを思い出しまして、私は今、人を神に近づけるために、人々の前で地面に倒されることすら恐れずに神にお仕えしているのだろうかとあらためて考えさせられました。

本来なら、三度お倒れになったイエスのかわりに、私が這いつくばって神のあわれみを願う必要があるはずです、今は、イエスが私たちすべてのためにお倒れくださり、十字架の釘を受けてくださっています。一人残らず、十字架に救われたことをしっかり心に刻み、十字架をあがめることにいたしましょう。自分の生活に生じるさまざまな十字架を、これからは逃げずに引き受ける決意も、あわせて願うことにいたしましょう。

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ちょっとひとやすみ
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▼最近天気が安定しません。本日(木曜日時点)暴風・波浪警報が発令され、お知らせをする防災無線放送でも「今後の天気には十分ご注意ください」という放送が流れました。春の嵐とは言うけれども、毎週船を乗り継いで教会にミサをしに行く神父のことをちっとは考えてもらいたい。
春の嵐と言えば、大相撲は「荒れる春場所」として知られているけれども、何も荒れたりしていない様子。おそらく横綱はそのままいって三十連勝するのでしょうし、相変わらず大関陣は不甲斐ないし、お茶漬けのコマーシャルの人の人気は衰え知らず。一つも荒れていないではないか。
▼そう思っていたら郵便が来て、今年の長崎教区の司祭の異動(転勤)を全司祭に通知する書類が届いていた。へぇへぇ・・・変われば変わるものだと感心しきり。一度では覚えられないくらい司祭の異動が発令されていた。最近の天気とここが「荒れ模様」だったか。
▼初めて主任司祭にご栄転されるたくさんの若手司祭の皆様。時に、責任の重大さに押しつぶされそうになるかも知れませんが、ええくろ加減の私がこうして務まっておりますゆえ、ご安心ください。分からないことは、近い先輩に聞くべし。最近いろいろ尋ねてくるある若い主任司祭が「可愛いなあ」と思う今日この頃です。

===-===-===-=== † 神に感謝 † ===-===-===-===-===